収入保障保険は、必要保障額に合わせて保険金額を設計できる良い商品ですが、残念ながら国内の大手生命保険会社は販売していません。

以前私が生命保険会社に勤務していた時に収入保障保険を発売したことがありましたが、あまり売れなかったため販売停止になってしまいました。

収入保障保険が売れなかった理由

収入保障保険が売れなかった理由は、お客様に受け入れられなかったというよりは、むしろ販売する営業の現場に受け入れられなかったというところにあります。

収入保障保険が営業の現場に受け入れられなかった理由は、二つあります。

1.収入保障保険の販売の難しさ

収入保障保険を販売するためには、必要保障額を算出する必要があります。

しかし、そのためには販売の主体となるセールスレディが家族構成や収入、貯蓄残高、公的年金の加入履歴などプライベートな情報をかなり収集しなければなりません。

普通のセールスレディがこのような情報を収集するまでには、かなり時間がかかります。

時間をかけずに、このような情報を収集する手段として、

  • 「○○キャンペーン」を実施して応募してもらう
  • 「○○アンケート」に記入してもらう

などを行っていましたが、家族構成を記入してもらえればよい方という状況でした。

また、仮に情報を十分に収集できて、パソコンに入力し必要保障額を算出できたとしても、必要保障額の根拠などを説明するのが難しいという面もありました。

特に、ベテランのセールスレディほどその傾向が強く、

  • 義理
  • 人情
  • プレゼント(手土産)

による、いわゆる「GNP(り、んじょう、

2.収入保障保険の成績の少なさ

収入保障保険の成績が少ないことも、営業の現場に受け入れられなかった理由です。

当時、営業の成績は主に保険金額をもとに算出されていました。

必要保障額に合わせて無駄のない保険金額を設計する収入保障保険は、顧客にとって良い商品である一方、営業の成績という面では必然的に保険金額が小さくなり、成績も少なくなってしまいます。

つまり、収入保障保険は右下がりの▲(三角)の形になることから、保障期間の平均保険金額が定期保険特約付き終身保険など■(四角)の形をした保険に比べて半分程度となり成績も半分程度になってしまいます。

また、生命保険を下取りする仕組み(転換)を利用して収入保障保険を販売する場合、下取りする生命保険より保険金額が大きくならないと成績が計上されないため、必要保障額に合わせて収入保障保険を設計すると成績が計上されない(または、成績が非常に少ない)ということもありました。

このように、収入保障保険は販売の難しさと成績の少なさにより営業の現場では受け入れられず、いつのまにか販売中止となってしまいました。

したがって、生命保険の相談をする時に収入保障保険を提案するところは、自らの利益より顧客の利益を優先していると考えてよいと思います。